2021年12月4日
選任している産業医が事業場を訪問していない
…いわゆる「名義貸し産業医」と言われる状況です。
その状況も様々ありますが、主には下記のようなお話を伺うことが多いです。
・対応が必要な際には、企業の担当者が産業医の勤務先に伺っている
・もともとは定期訪問してくれていたが、お忙しくなり随分前から見かけていない
・労基署に選任届は出しているけど、産業医なんて見たことない
・(関東圏外の事業場で)東京の医師を選任しており現地への訪問は無い
などなど
「労基署からも指摘されていないから~」と上記の状況のままとされている事業場もありますが、
名義貸し産業医の状況は、企業が様々な経営リスクを抱える状況となります。
■名義貸し産業医=不十分な産業医対応による経営リスク
リスク①:法令違反による罰金の発生
労基署に選任届けを出せば企業の産業医対応は終わり、という訳ではありません。
産業医には法令で定められた業務があり、その実施を管理することも企業には求められます。
法令で定められた業務の中で、「職場巡視」という業務があり、
産業医が事業場への訪問をしていない場合、この業務を行えていないという事となります。
労基署の監査が入れば間違いなく指摘事項になるでしょうし、
最悪の場合、産業医未対応/未選任の状況として罰金刑の対象と判断される可能性もあります。
リスク②:安全配慮義務違反による損害賠償請求
勤務中に生じた心身の不調について、企業の対応内容に関する訴訟が増加しています。
その際に「産業医が事業場を訪問していなかった」等の状況があれば、
法令違反の状況であったとして、本来行うべき義務を果たしていなかったことになりますから
企業の責任追及は不可避となるでしょう。
リスク③:企業イメージの低下
万が一にも上記のような状況が発生すると、ブラック企業といったイメージが生じ
今の時代、SNSやネットニュースなどを通じ想定以上に情報が拡散する可能性もあります。
採用や融資など、経営に直結する問題にも悪影響が出る可能性が高まります。
加入されている 損害保険等も安全配慮義務違反の場合は支払対象外となるケースもあります。
「安価だから名義貸し産業医の状況にしている」ということがあれば要注意。
上記のリスクを生む状況にかけているコストが安いと言えるでしょうか?
ただの無駄なコストとなっていないでしょうか。
万が一の事態へのリスクヘッジとして、法令遵守の体制を整えるということは勿論、
従業員が心身ともに健康に働くことで生産性向上を目指せる健康管理・職場環境改善を行うために、
頼れる専門家としてアドバイス等を行うことが産業医本来の役割となっています。
メンタルヘルス対策などをはじめ、ますます多様化する企業での健康管理、
また働き方改革などの法改正を経て、産業医の本来の役割の実行を確保してはじめて、
企業が産業医にかける予算は意味のあるもの=企業にメリットを生むものとなります。
法律だから仕方なく…と、形だけ整えた産業医選任は時代遅れの対応となっています。
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