2021年12月27日
事業場の従業員数が50名を超え、産業医の選任を済ませると、
産業医に対応していただくべき業務も発生します。
その対応のひとつが、「産業医による職場巡視」です。
■法律で産業医による職場巡視実施義務が定められている。
産業医による職場巡視は、原則月1回以上実施することが必要です。(労働安全衛生規則第15条)
職場巡視の目的については、
労働者健康安全機構より発行の職場巡視のポイント(産業医科大学_岩崎明夫先生著)に
わかりやすく記載があったので、引用させていただきます。
職場巡視と聞くと、安全管理の側面が強い印象を受けますが、
オフィスワーク事業場などでは、毎月指摘するような箇所もなくなるケースが多いです。
(この点は、弊社運営の産業医コミュニティ「さんポス」でも議題となっていました。)
勿論オフィスにおいても、湿度・温度のチェックや配線類の確認、
非常口の確保状況(荷物で塞がれていないか)、高所に落下の危険がある荷物はないか等
また昨今は、感染症対策の実施状況の確認などの重要なチェックポイントがあります。
■事業場と職場の接点としての巡視を
指摘箇所がなくなったら巡視をやめて良いということはありません。
月1回の巡視の義務は継続されます。
そこで重要となるのが、上記の目的にもある
「労働者の業務内容理解、職場とのコミュニケーション」という点になります。
産業医が事業場の職場環境の改善提案や、従業員との面談を行う上で
事業場で従業員の皆さんがどのように働いているかの状況を把握することはとても重要です。
職場巡視は、産業医が実際の職場を見て回りそういった情報を収集することが出来る機会となります。
また、従業員側も産業医を見かける機会にもなるので、
「うちの会社の産業医はこういう先生なんだ」と認識してもらえる機会にもなります。
産業医の存在を知っていても、いざ相談したいという時に
どんな雰囲気の先生かわからないと、相談の申出も不安で躊躇してしまいますよね。
産業医と従業員の距離を縮める機会としても巡視は効果を発揮できるのです。
■法改正による2か月に1回の職場巡視実施について
2017年の法改正 を受け、所定の条件を満たせば産業医の職場巡視を2か月に1回とすることが可能となりました。
リンク先の資料(厚生労働省からの通知書)にも記載がありますが、
制度見直しの背景・ねらいは下記の通りです。
つまり、産業医の役割が増加し、対応する業務も多様化したため
より効果的に産業医業務を行うために、職場巡視の回数を削減してもよいという内容です。
決して、産業医業務を削減していいよということでは無いのですが
昨今、この法改正を受けて「産業医業務自体を毎月から2か月に1回にする」という企業が増えています。
産業医の対応頻度が減れば、その分事業場との接点も薄れ、事業場の健康管理への取組み効果も薄れることが懸念されます。
業務を削減した分、費用も削減できたという企業からのお話を聞く機会も増えていますが、
「効果を得られない運用に支払う費用」は安いといえるでしょうか。。。
木を見て森を見ず、な状況になっていないか。その点はくれぐれもご注意ください。
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